鳥取県喘息患者会『いなば会』の医師菊本直樹先生講座のステロイド吸入薬についてのページです。ここをクリックすると、菊本直樹先生講座項目へとびます。(水色の魚が2匹向かい合っている絵です)

ステロイド吸入薬について    04.10.7

        鳥取生協病院内科病院部長 菊本直樹

1、まず気管支喘息の現状と課題について述べます。

気管支喘息患者数は増えていて、15年前の約2倍となっています。(人口の約3-5%) 気密化した家庭環境、ソファー、絨毯などダニ、カビのはえやすい環境、ペット、自動車の排気ガス、ストレスなどが問題となっています。又社会保障の後退など豊める国における貧困の問題もあります。

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しかし気管支喘息死亡は国全体でも、鳥取県、及び県東部でも同様に近年減少してきていて、国全体で人口10万人当たり 2.9人 (3701人:2003)となっています。吸入ステロイドを中心とした抗炎症薬の普及が最大の要因と思われます。しかし2003年をみても60歳以上が90%をしめ高齢者の喘息死亡が多く、吸入ステロイド薬の普及、吸入指導、インフルエンザ予防接種、禁煙指導等特別な配慮が必要です。

 
 

                  (石原享介先生資料)

2、では気管支喘息とは何でしょうか?

1) 気管支喘息の本態は、気道の慢性炎症です。
2) 気道炎症により、急性の気管支収縮、気道壁の腫れ、慢性的な粘液栓形成、気道壁の元にもどらない変化、気道閉塞等が起きます。
3) 不十分な治療で慢性の気道炎症が長く続くと、気道壁のリモデリングという変化がおき、ステロイドなどの薬物にも反応しにくくなります。
4) また肺気腫・慢性気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患、アトピー咳、心不全、反復性誤嚥、胃食道逆流、後鼻漏、肺炎クラミジア、気管・気管支腫瘍等との鑑別が必要となります。

3、次に気管支喘息の治療とステロイド吸入療法について述べます。

1) 気管支喘息は気道の慢性炎症で起きる疾患ですから、炎症を抑えるめに、喘息治療においてはステロイド吸入薬が第一選択薬となります。
2)

ステロイドは副作用を出さないために吸入と短期強化療法の組み合わせで使用します。吸入ステロイド薬としては、主に、フルタイド、パルミコート、キュバールが使われ、短期強化療法としては、プレドニン内服0.5mg/kg3〜5日を内服する方法があります。

主にステロイド吸入薬の普及により喘息死亡、喘息救急搬送は減少して来ていますが、しかし国内ではステロイド吸入薬の普及率は12%前後でしかなく、ガイドラインにそう導入指導等が望まれます。また自己管理はピークフロメーターと喘息日誌を使用し、ピークフローという吐く息のスピードが自分の最高値の80%以上になるように薬を調節していきます。

4、では各種ステロイド吸入薬の使い分けはどのようにしたらよいでしょうか? 

                     各種ステロイド吸入薬の色々

        (1)ドライパウダー吸入器          (2)加圧式噴霧吸入器

フルタイド・ディスカス パルミコート キュバール


1) 上記のように、ドライパウダー吸入器としてフルタイドとパルミコ ート、加圧式 定量噴霧吸入器としてキュバールがあります。基本的にはどれを使用してもよいですが、大切なのは医師の指示に従い継続して使用する事です。
2)

但し、吸入の継続しやすさ、力価からいって、フルタイドは使用しやすい薬です。

3) しかし咽頭違和感はパルミコート、キュバールの方が少ないです。
4) またキュバールは加圧式定量式のエロゾル製剤ですので低肺機能患者には使用しやすい薬です。
5) パルミコートは妊娠さんにただ一つ安全性が大規模なデータとして確認されている吸入薬です。ただし、フルタイド、キュバールで異常出産の報告は全くありません。
6) またパルミコート、キュバールは、フルタイドより粒子径が小さくより末梢の細気管支の炎症を抑える可能性が有ります。
7) しかしキュバールは吸収量が多く、長期使用で副作用が心配です。わたしはフルタイドから導入し、色々に使い分けています。


加圧式噴霧吸入器 ドライパウダー吸入器
キュバール フルタイドエアー フルタイドディスカス パルミコート
適応 成人 成人・小児 成人・小児 成人
臭い、味 アルコール臭 無臭 甘い 後で苦い
簡便性 ×
指導の簡便さ ×
残量の確認 ×
携帯性 ×
低吸気量患者への適応 ×
安価

大変優れている ○優れている △やや劣る ×劣る

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